Christian Journal

福音主義・キリスト教民主主義に立脚する日刊ブログ

宗教と政治思想の関係

さて、本紙ではキリスト教福音主義の立場に立って政治や社会について論評をすることとしました。すると、読者諸氏の中にはそれは政教分離に反するのではないですか?とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

確かに、日本は憲法20条で政治と宗教を厳格に分離する政教分離原則を掲げる国家です。しかし、それは「国家が宗教に対して特権を与えたりしてはいけない」という意味であり、宗教観をもった個人が政治家になって政治を動かす以上、その影響を完全に排除することもできないし、また排除してはいけないはずなのです。

 たとえば、禁酒禁煙を詠う宗教を信じている政治家はおのずとたばこ税や酒税の増税をする方向に向かうでしょうし、イスラム教徒の政治家なら豚肉の輸入関税強くいうでしょう。日本においても性道徳に厳格な態度で臨むクリスチャンが中心となって廃娼運動が展開されて売春防止法が制定されたり、浄土真宗の僧籍を持つ人が法務大臣になったがために、その間死刑執行が行われなったことなどがありました。このような事例からみてもわかるように、政教分離とは国家が宗教に影響を行使してはならないという意味であり、とある宗教を信じた政治家が、その倫理観にもとづいて政策を左右することは往々にしてあることです。むしろ、政治家の政策決定にかかる政治信条は、その政治家の信じている宗教に決定的に影響されるといっても過言ではありません。

では、本来、福音主義プロテスタントに立つキリスト者はどのような政治思想にたつのでしょうか? 続く